東海道新幹線「のぞみ」乗車レポ ー静岡県通過の旅ー
プロローグ
首都圏から、中京圏・関西圏へ
東京駅を出発したのぞみ号は、品川駅、新横浜駅と止まっていきます。次の停車駅は名古屋。首都圏から中京圏へ、一気にワープする感覚です。しかしその途中には、東西およそ155㎞にわたって続く1つの「県」が存在します。今回は、最高速度285㎞/hで通過しながら、その「県」の街と車窓をご紹介しましょう。
新幹線から見る富士山
東海道新幹線の車窓と言えば富士山!
まずは小田原駅の通過前、迫りくる箱根の山と共に眺めます。続いて静岡県内の1駅目「熱海駅」を通過。ついに静岡に突入しましたが、このあたりはまだまだ関東の日帰り圏内です。
三島駅を通過
新丹奈トンネルを抜けて、2駅目「三島駅」を通過すると富士山もぐっと近くなります。ここでようやく静岡の地に足を踏み入れたことを実感します。すぐ北には箱根の関所もあることから、その感覚もあながち間違いではないでしょう。
新富士駅を通過
新幹線から富士山を見るには、座席はE席、季節は冬、時間は朝がおすすめです。3駅目「新富士駅」通過前後では、かなり近くに見ることができました。雲に隠れがちな夏場は、広大な裾野から山の形を想像してみるのもいいでしょう。
寿司詰メモ
東海道新幹線と言えば、「白」と「青」のツートンカラー。初代0系新幹線から脈々と受け継がれているカラーリングです。色の由来はタバコ箱から。たまたま会議室に置かれてたハイライトという銘柄のタバコ箱のカラーリングが、そのまま新幹線に採用されたのです。また当時の鉄道車両は、ブレーキによる汚れを目立たなくするため、暗くて濃い色で塗られていました。しかし新幹線では新型ブレーキを採用。汚れが発生しにくくなったことから、「白」の車体が実現したのでした。
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(富士山の眺望を売りにした観光地が多いです。)
静岡VS浜松
静岡駅を通過
次第に車窓にビルが増えてきて、4駅目「静岡駅」を通過します。かつては駿府城の城下町や宿場町として栄えた静岡市。現在は県庁所在地であり、また清水港を擁する港湾都市、県内一の工業都市という一面もあります。
県内最後の6駅目、浜松駅を通過
ちらりと木造駅舎を眺めながら5駅目「掛川駅」を通過して、いよいよ県内最後の6駅目「浜松駅」を通過します。浜松市は、かつては浜松城の城下町、そして現在は企業城下町!ヤマハ、スズキ、ホンダなどの名だたるメーカーがこの地で創業しました。
静岡と浜松。どちらも「のぞみ」は通過してしまいますが、太平洋ベルト工業地帯の中核を担う、非常にパワフルなエリアなのです。
寿司詰メモ
静岡市と浜松市では、どちらが都会なのでしょうか?人口は、県庁所在地である静岡市の方が少なく、浜松市 77万人>静岡市 67万人となっています。どちらも工業都市ということで工業生産(出荷額)を比較すると、静岡市 2.2兆円/浜松市 2兆円と拮抗しています。一方で駅利用者数は、静岡駅 4.2万人>浜松駅 2.4万人と大きく差が開きました。どちらも訪れたことのある寿司詰は、「静岡市の方が都会っぽいかなぁ…」と思っていますが、ここはぜひ自分の目で確かめてみてください!
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(浜松駅前のアクトタワーは、県内で一番高い高層ビルです。)
現代の東海道の旅
かつての東海道五十三次の宿場町が、今日の街の原型となり、やがて東海道本線や新幹線、高速道路が開業すると、沿線の都市化や工業化が進みました。静岡県には1つの大都市はありませんが、そこそこの都市がいっぱいあります。もしかしたら、こんな歴史があったからかもしれませんね。
寿司詰メモ
「静岡駅にのぞみを停車させてほしい」という要望が度々上がっています。静岡県を代表する駅ですし、山陽新幹線の一部のぞみ停車駅よりも利用者数が多いことから、その主張も一理あります。しかしながら、首都圏ー中京圏ー関西圏を結ぶ需要はあまりにも大きく、また東京からの距離も近いため、現状では難しいのです。一方で、将来リニアが開業すれば状況は大きく変わります。20xx年、静岡駅にのぞみが停車する日がやってくる?
江戸時代の旅の難所!?
江戸時代の旅で難所とされたのが ”越すに越されぬ大井川”。東海道の旅では、富士川、安倍川、大井川、天竜川 といくつもの河川を越えていきます。逆に言えば、それだけ水に恵まれた地域だったんですね。
静岡県の西の果てへ
いよいよ静岡県の西の果てまでやってくると、車窓には浜名湖が現れます。ここの名物グルメと言えばうなぎ!本当は降りて食べたかった…。
うなぎの代わりに、沿線名物が詰め込まれた東海道新幹線弁当をいただきましょう。静岡からは黒はんぺんが出場。おかずが多く、贅沢な駅弁でした。
列車は豊橋駅、三河安城駅を時刻通りに通過して、次は名古屋です。
エピローグ
さて、東海道新幹線は日本の三大都市圏の高速輸送・大量輸送・安定輸送を担う存在。スムーズに目的地まで移動することができますが、ただ通り過ぎるだけではもったいない!流れ去る車窓に目をやったり、途中下車してみたり、あるいは旅の目的地にしてみたり…。そうすれば、自然と歴史と文化が詰まった、日本の大動脈の”途中”にある魅力に気づくことができるかもしれませんね。